熱き魂を見せよ、~騎馬戦にかける男たちのストーリー~
和敬塾体育祭の最終にして最大の競技、それが騎馬戦。
高まる緊張感と反比例するかのように日は傾きだす。騎馬戦のフィールドに立っていることを想像するだけで身震いがする。ここまできたらもはや練習の成果を発揮するとかそういうことなどは重要ではないだろう。勝ちたいという思いの強さ×結束力が勝利をつかみとる権利を得る。
第一戦、対東寮。
結果は惨敗。
俺たちの誇りはずたずたにされた。初戦にして心も体も泥で汚された。負けた相手は東寮ではない。弱さ、甘え、妥協、見栄・・・去年の三戦全勝という結果に浮かされていた自分たちなのだと。
再確認した。俺たちは俺たちだ。強いとか弱いとかっていうことは過去が決めるんでない。今この瞬間にどれだけ勝てると信じられるか、そしてフィールドでパワーをどれだけ爆発できるのか。
気持ちを切り替えよう。そして第二戦の相手南寮に己のあらんかぎりをぶつける。
第二戦、対南寮。
激しい攻防の末、惜敗。
あと一歩だった。しかしその一歩があまりにも大きかった。
フィールドを去る俺達の心はもう何も残っていなかった。歓喜の叫びをあげる南寮生を前に呆然と立ち尽くすしかなかった。
こんなはずではない。こんなはずではなかった。こんな・・・
俺達の体育祭ってなんだったのか。なんのためにこんなに苦しい練習をしてきたんだろうか。
勝ちたいんだろう。めっちゃ勝ちたいんだろうが。
勝ちたいという思いただそれだけが魂を突き動かす。
一緒に裸と裸でぶつかりあってきた仲間同士で勝ちたいという叫びが、決戦の舞台への行進曲となって俺達を導いた。
第三戦、対北寮。
37分にも及ぶ男になるための戦いは、西寮の勝利をもって幕を閉じる。
勝つことがこんなに嬉しいなんて。
負けることがこんなに悔しかったなんて。
今年の騎馬戦は1勝2敗であった。騎馬戦を通して学んだこと、その記憶は俺達のこころに今なお深く刻み込まれている。